令和7年度施政方針
令和7年度施政方針(令和7年3月定例議会)
本日、ここに令和7年第1回曽於市議会定例会が開会されるにあたり、市政運営に臨む私の姿勢と所信の一端を申しあげますとともに、令和7年度の一般会計予算案の重点施策など、その概要についてご説明申し上げます。
国は予算編成の基本方針として、「経済財政運営と改革の基本方針2024賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現」が閣議決定され、デフレから完全脱却し、「コストカット」が続いてきた日本経済を成長型の新たな経済ステージに移行させていくことを「最重要課題」と位置付け、賃上げを起点とした所得と生産性の向上を目指すこととされています。
令和7年度においては、社会保障関係費、人件費の増加等が見込まれる中、地方公共団体が、住民のニーズに的確に応えつつ、様々な行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう、地方交付税等の一般財源総額について、前年度を1兆535億円上回る63兆7,714億円の額が確保されたところです。
本市におきましては、このような国の施策に対応するとともに、今後も少子高齢化社会が続くことが見込まれる中、本市の将来像である「豊かな自然の中で みんなが創る 笑顔輝く元気なまち」を実現するため、「第2次曽於市総合振興計画」に示された、まちづくりの基本方向に基づく基本計画に沿って具体的に取り組みます。
また、「第2期曽於市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に掲げた重点プロジェクトの実現に向けた取り組みとして、本市へ新しい人の流れをつくり、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえ、安定した雇用創出のため、より具体的な個別計画を積極的に実施し、市民が安心して暮らせる夢や希望にあふれた魅力あるまちづくりを目指し、誰もがこのまちで生涯を暮らしたいと思えるようなまちを、市民の皆様と共に行動して全力で創りあげてまいります。
令和7年度は3町合併により曽於市が誕生して以来、20年目の節目を迎えることから、様々な記念行事を計画しております。
私は、市長就任12年目を迎えるに当たり、市民の皆様と約束しました公約の実現に、今後も更に努力してまいる所存でございます。
まず、 市の人口増対策では、「定住・移住対策」として、住宅取得祝金や移住・就業支援金の支給、引っ越し費用・家賃の補助を行う結婚新生活支援、米、肉、野菜を定期的に支給する食の支援を引き続き推進してまいります。商店等のない地域のうち、買物や地域の拠点となる場所を創出する地域活性化支援策として、試験的に空き家等を活用し、コミュニティ協議会等と連携しながら、地元で採れた野菜などを販売することにより地域の活性化を図ってまいります。
交通対策については、新たな取り組みとして利用者の増加と利便性を図るため、コミュニティ協議会が運行するモデル事業を2地区実施します。情報発信事業は、曽於市を市内外にPRするための大変重要な事業であります。今後も情報発信の中核をなす「市報そお」やコミュニティFM放送、市ホームページ、ラインなどの各種SNS等について、分かりやすい内容で積極的に市民の皆さまへの情報提供に取り組んでまいります。
子育て支援対策につきましては、全ての妊産婦、こども、子育て世帯へ母子保健・児童福祉機能が一体的に相談支援を行うこども家庭センターを設置し、妊娠・出産・子育てに困難を抱える家庭をできるだけ早期に発見・把握し必要な支援につなぎ、こどもの健やかな成長を支える体制の強化を図ります。また、保護者の経済的負担を軽減するため、保育料の無償化を実施します。
南九州畜産獣医学拠点事業につきましては、令和6年4月から運用を開始し、これまでに約2万人の皆様に来場いただいております。特に全国からの獣医学生については、17大学中15大学から約200名を受け入れておりますが、2年目となる令和7年度は、鹿児島大学をはじめとする関係機関との連携をより一層強め、魅力ある取組を展開し来場者の倍増を目指します。
庁舎整備につきましては、令和元年度に策定しました「本庁・支所機能再編計画」に基づき、老朽化している施設の改善及び地域の災害時における重要な防災拠点施設としての役割を担うため、大隅・財部両支所庁舎の整備を図り、本年5月から運用を開始いたします。また、老朽化の進む本庁舎についても、令和7年度までの2ヶ年計画として引き続き改修に取り組んでまいります。
まちの発展には、産業の振興が欠かせません。曽於市は畜産を中心とする農業のまちであり、農業生産額を増やすことを本市発展の基本と掲げる中、令和6年産曽於市農畜産物生産実績における生産額合計は、516億2,596万4千円となり、前年と比較しまして1 3 億7 , 2 3 6 万2千円、2.6%の減となりました。
耕種部門については、農業経営の安定化と維持・拡大を図るため、国・県と連携した担い手の育成確保、農地の集積・集約、省力化と畑かん営農の推進、環境保全型農業の推進に取り組んでまいります。また、農業公社の受託事業とコントラクター事業の拡充を図り、農家の経営安定と規模拡大に努めてまいります。
有害鳥獣対策では、さつまいもや水稲などの農作物被害防止に取り組むとともに、捕獲した個体の有効活用を図るためのジビエ処理加工についても検討してまいります。
畜産については、生産基盤の拡大を図るため、畜産振興協議会事業を中心とした導入保留対策や家畜改良を計画的に進めるとともに、飼養管理の省力化と多頭化を図るための生産基盤施設の整備に取り組んでまいります。また、家畜伝染病を防止するための防疫対策の強化による家畜衛生体制の確立と家畜の生産性向上を図ってまいります。
思いやりふるさと寄附金推進事業につきましては、昨年度に引き続き、全国から多くの寄附金をいただき、御礼として本市の特産品を贈呈しております。令和6年4月から令和7年1月までの10か月間で、約5万8千件、約12億3千万円を超える寄附金をいただいており、令和7年3月末には、総額約14億円の寄附金を見込んでいます。曽於市を応援していただきました全国の皆様に心より感謝申し上げます。令和7年度も更にふるさと納税に対する活動を充実し、本市の全国的なPRと地域活性化に努めてまいります。また、曽於市観光協会と連携しながら、ゆるキャラである「そお星人」を利用したPR活動等を行い、本市の観光事業の充実と交流人口の増加に努めてまいります。
企業版ふるさと納税につきましては、これまでに2億円を超える寄附をいただいております。制度が延長されたことに伴い、より一層本市の振興に寄与する支援の輪を拡げるよう努めてまいります。
災害復旧事業については、昨年、梅雨前線豪雨と台風10号により市道・河川・農地・農業用施設で災害が発生し、農産物にも多くの被害が発生しました。また、日本各地でも豪雨・強風・地震など多くの被害が発生しております。防災減災のための予防保全対策に取り組みながら、1日も早い復旧に努めてまいります。
公民連携推進事業については、行政サービスの質の向上並びに地域経済の持続及び活性化を図るため当事業を進めてまいりますが、事業を進めるにあたっては、まちづくりに関する事業について、公民連携事業の可能性を検討し、民間からの事業提案の募集を行ってまいります。まちづくりは、人づくりであり本市発展の基本となるものです。「個性豊かな教育と文化のかおるまちづくり」の基本理念のもと、学校教育においては、確かな学力を身につけ自立する力を育む教育を推進するとともに豊かな心を育み健やかな身体と体力の増進に取り組んでまいります。
学校施設においては、引き続き充実した教育環境の整備を進めるとともに、末吉小学校改築に着手します。また、GIGAスクールにおけるタブレットや電子黒板などICT機器の活用を一層推進してまいります。学校給食は、昨年9月より新しい給食センターでの提供を開始しており、引き続き安全でおいしい給食の提供と食育を推進するとともに、令和6年度より取り組んだ学校給食費の完全無償化を引き続き実施してまいります。
学校教育関係では、児童生徒一人一人の学習状況に応じた個別最適な指導、「学び合い・深まり合う授業」を推進するため、教職員の資質向上やICTの活用を一層推進してまいります。また、小中高の連携や地域連携等を図り、教育活動の充実に努めてまいります。
生涯学習関係では、生涯学習事業や文化振興事業、スポーツ振興事業など、市民が生涯にわたって学ぶことができる場の提供、地域活動の拠点となる各地区・校区公民館や青少年、女性団体等の支援を行ってまいります。
また、市民の学びや健康づくり、生きがいづくりの場として、各種施設の整備を進めております。令和7年度は、令和8年4月の開館に向けて、財部中央公民館及び図書館財部分館の整備を進めてまいります。今後も、市内外の多くの皆様にご利用いただくよう、施設の維持管理、サービスの向上に努めてまいります。
文化財については、弥五郎どんが国の重要無形民俗文化財指定として答申され、正式に国指定となる見込みとなりました。今後も地域に残る文化財等の保存・継承に努めてまいります。
令和7年度の予算編成につきましては、市長選挙が執行される年であることから骨格予算となりますが、令和6年度に引き続き、市民の皆様に開かれた市政を目指すとともに、農・畜産物の付加価値を高め、商工業の発展を更に推進し、子どもからお年寄りまで、笑顔が輝き元気なまちづくりを目指すため、
(1) 市民にやさしい市政運営
(2) 人と自然を生かした活気ある地域づくり
(3) 教育・文化を促進し、心豊かなまちづくり
(4) 人口増を目指し、地域活性化の推進
(5) 農・畜産物を生かした所得倍増のまちづくり
の5つを基本方針として、限られた財源の中で、市民の福祉、教育、くらしを守るための予算として編成しました。
令和7年度の一般会計当初予算は、270億4,000万円となり、前年度当初予算に対して、1億2,440万8千円、0.5%の増となりました。
また、特別会計予算におきましては、予算総額が、117億7,971万3千円となり、前年度当初予算に対して、1億6,426万1千円、1.4%の減となりました。
国民健康保険特別会計予算は、保険税の負担軽減を図るため、一般会計からの法定外繰入金を1億8,000万円充当して予算編成したところであり、前年度当初予算に対して、1億239万3千円,1.8%減の54億4,355万1千円となりました。
後期高齢者医療特別会計予算は、県の広域連合の積算に基づく保険料及び広域連合納付金が主なものであることから、前年度当初予算に対して、20万4千円、前年度とほぼ同額の7億975万7千円となりました。
介護保険特別会計予算は、第9期介護保険事業計画(令和6年度~令和8年度)に基づくとともに、前年度の実績を考慮したものであり、前年度当初予算に対して5,851万6千円、1.0%減の55億6,138万7千円となりました。
生活排水処理事業特別会計予算は、浄化槽の維持管理に関する予算が主なものであり、前年度当初予算に対して、355万6千円、5.2%減の6,501万8千円となりました。
水道事業会計予算は、収益的支出が、前年度当初予算に対して、249万9千円、0.4%減の5億7,089万8千円、資本的支出が、前年度当初予算に対して、1億9,503万2千円、70.0%増の4億7,381万6千円となりました。
公共下水道事業会計予算は、収益的支出が、前年度当初予算に対して、1,985万6千円、9.3%減の1億9,417万5千円、資本的支出が、前年度当初予算に対して、1億659万6千円、90.6%増の 2億2,420万3千円となりました。
以上、令和7年度における市政運営の基本的な考え方について申しあげましたが、議員各位並びに市民の皆様のご支援とご協力を賜りますようよろしくお願い申しあげます。
令和7年2月21日 曽於市長